Speaker Proposalは選定者、聴講者のために書こう

このエントリは2025/08/23現在のものです。

タイトルの通りですが、テックカンファレンスに登壇したい場合、CfP (Call for Papers / Call for Proposals) のフォームにspeaker proposalを書くことが多々あるはずです。そのとき、指定に従って記述しないと、選定の際に不利になる可能性があるよ、というお話です。

CfPページによくある項目

国内外のテックカンファレンスのCfPページで、おおよそ共通する項目は以下のあたりです。

項目 記述内容 タイムテーブル表示
Session title 文字通り、セッションのタイトル。
選定者ならびにカンファレンス参加者が、トークの内容を把握でき、そのトークへの興味を持たせるためのタイトルであることが求められる。
あり
Description いわゆるセッション概要、アブストラクトと言われるもの。
Presentation notesは、選定者に向けにトークの内容を記述するものであるのに対し、Descriptionはカンファレンス参加者が聴講する(聴講したい)か否かを判断する材料として使われるので、トークで伝えたいこと、カバーすることをわかりやすく記述することが求められる。
選定者にとっても、Presentation notesと合わせてこのトークの構成、内容を把握するために使う重要な項目。
あり
Elevator pitch なぜこのトークを採択すべきなのか、このトークがもたらす(であろう)参加者へのインパクトを記述する。選定者に対するトーク内容のアピール場所。
過去に同じテーマで実施したトークの評価が高かった場合にはその数値を入れるのもあり。
Presentation notes トークの構成、内容。
Descriptionよりも細かく、トークのスコープ(話すこと、話さないこと)、アジェンダ案などを書く。できるだけ細かく書くことが望ましい。
Elevator pitchとひとまとめになっている場合もある。
Category テックカンファレンスには様々なタグが用意されていると思うので、自身のトークのカテゴリを1個以上のタグから選択する(例:JVM languages、DevOps、Security、Community、etc.)。 あり
Session level
もしくは
Audience level
Session levelならトークの難易度、Audience levelなら聴講者に期待される技術レベルを意味するが、トークの難易度を示すことがほとんど。 あり
URL of Previous presentation slides or recordings 過去に同一テーマで実施したトークスライドや動画があれば、リンクを貼り付けておくと選定にあたって有利になる場合がある(トークの流れや説明、技術レベルを選定者が知るための材料)

どの項目が重要なのか

どれも重要なのですが、その中でも重要なのは以下の4項目です。

  • Session title
  • Description
  • Elevator pitch
  • Presentation notes

例えば選定者の立場で考えてみましょう。

Presentation notesに詳細を記載し、Elevator pitchに熱い思いや過去のテックカンファレンスで実施した同じトークで高評価だった旨を記載したとします。ですが、

  • Descriptionがただのトークの構成(所謂Agenda)だけ
  • Session title、Presentation notes、Descriptionが整合しない

という状況だったとしたら、選定者の目には以下のように映る可能性が高いでしょう。

  • このスピーカーは聴講者に対して何を伝えたいのかがわからない
  • Description、Session title、Presentation noteにずれがある、ということは、トーク内容が十分に構成されていない、検討されていない可能性が高い

結果として、選定者はこのspeaker proposalを採択しない可能性が高いでしょう。なぜなら、不備がある状態で採択した場合(これは採択する側が悪い、と言ってしまえばその通りなのですが)、参加者に満足してもらえない可能性が高まるからです。テックカンファレンスの運営チームとしては、残念な結果にならないようにしたいと考えているはずです。

その他、以下のような状況だと、やはり採択されない可能性が高いのですが、仮に選定されたとしても、聴講者に十分な情報が提供されないことから、聴講者が少なくなる可能性が高いでしょう。

状況想定されること
Session titleがキャッチー過ぎて、トーク内容がイメージ出来ない聴講者がこのトークを選択しない可能性が高い
Session titleとDescriptionがわかりづらい聴講者がこのトークを選択しない可能性が高い
Session titleとDescriptionが整合していたとしても、トーク内容とのずれがあった多数の途中退席者が現れる可能性が高い
Descriptionの内容がトークの構成だけ「このスピーカーは何を話すつもりなのかわからん」と判断し、聴講者がこのトークを選択しない可能性が高い

というわけで

speaker proposalを採択してもらうためには、

  • 話したいことだけ書かない。自分のメモでもない。採択者、参加者に選んでもらうために書く。
  • 聴講した結果、聞き手にどういう状態になってほしいか、何を持ち帰ることができるのか、を明確に書く。

という、当たり前を当たり前に、丁寧に実施することが大切です。もし良好なフィードバックがあれば、次回の採択のハードルが下がる可能性もありますので、採択されやすいspeaker proposalを作成し、採択してもらえるよう丁寧に準備しましょう。

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